鱒幸竿はバイオミメティクスデザイン※ から生まれた

竹のスプリットを接着し、硬化待ち。

気温が低くて硬化不良が怖いから24時間暖房つけっぱなしです。


その間に次のロッドを設計。

パソコンでも同じ作業ができるのですが、アナログな方眼紙に手書きのやり方がなにかと優れているので、いつもこうです。

このグラフを見れば、どんなアクションに出来上がるか想像できてしまう。


テーパーを計算してくれるソフトなるものまで市販されていますが、私は使ったことがありません。自分で考えるからこそ面白いし、個性が生まれるんじゃないでしょうか?


かつてロッドのテーパー設計で悩んでいた時期、竹を採取していた竹林で、風にゆったり揺れる竹を見上げていた私に突然インスピレーションが降りてきました。


高さ十数mある生きた真竹は強風の中でも倒れる事無く柔軟にしなり、ピンと真っ直ぐ立っている。そのまま延べ竿として使えるような竹の優れた構造は、自然が何万年何億年もかけて進化させてきた、ある意味完成されたデザインなのだ。

この形状を参考にすれば同じ素材から作られるバンブーロッドにも最適なテーパーデザインが出来るのではないか?とひらめいたのです。


成長した竹は直線的に見えるが、そんな単純ではないはずだ。厳密にはどんなテーパーなのだろうか?

そうだ、日本人にはお馴染みの『タケノコ』だ。筍のあのカタチがそのまま成長して大人の竹になるのだから。


スプリットケーンロッドを発明発展させてきた欧米人はおそらく筍を見たことがなかっただろう。これは竹が自生して見慣れている東洋の人間ならではの気付きなのではなかろうか。


帰宅した私は机に直行して、方眼紙にタケノコの断面を描き出した。

累進的な曲線で出来たカーブ。

これこそが現在の鱒幸竿のテーパーデザインの元になっている。


そう、ひとことで言うと、鱒幸竿は『タケノコテーパー』なのである。

(注、一部そうでない物もあります)


※バイオミメティクス=生物模倣技術。

何億年もかけて進化してきた生物の形状、構造、機能を模倣して技術開発する手法。近年大変注目されているようです。

例えば新幹線の先頭がカワセミやカモノハシの嘴からヒントを得ているとか。

#biomimetics

鱒幸

フライフィッシングで日本の渓魚を味わい深く釣るための竹竿、鱒幸竿のページです。

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